広大な公園のアクティビティを高めるインクルーシブカフェへのリニューアル
国営海の中道海浜公園 MOGMOG PLAY CAFE
福岡県福岡市
クライアント:公園財団
福岡市東区にある国営海の中道海浜公園は、博多湾と玄界灘の2つの海に囲まれた砂州状の地形「海の中道」に位置する、東西に約6キロメートル、面積約350ヘクタールと広大な敷地を有する国営公園。1年を通して季節の花々が咲き、動物園や水族館、屋外プールやホテルなどもあり、エリア全体として楽しめる公園として市民に愛されている。公園の中には、元々焼きそばやソフトクリームを販売するレストハウスがあったが、お店の前に広がる芝生広場を障害のある子どもも、誰もが楽しめるインクルーシブパークに変える計画に合わせて、リニューアルすることとなった。
インクルーシブとは何か? 公園内にあるカフェは、公園がよりアクティブに使われていくためにどうデザインできるのか? そんな視点を持ちながら、設計デザインの議論は進んでいった。同時に既存の公園やレストハウスに愛着を持ち働かれていたスタッフの皆さんへのマインドセットをレクチャーをお茶会を通して進めていくこととなった。
ハードの設計では、まず、そのほとんどが閉じられる形で使われていた八角形の平面計画をそのまま活かし、店内のどこからでも外部の公園を見渡せることを目指した。また、既存の天井や照明など、魅力的なデザインはバランスを見ながら残すこととし、新旧が折り混ざる空間に居心地を創出することを目指した。
全体としては、建築家・構造家の知恵を借り、アクロバティックな改修を行っている。大きくは、円形の既存キッチン部分は反対側倉庫に移動させ、もとの部分は小上がり席に。元倉庫の部分は壁を大きく壊しキッチンとし、また公園に面する外側の壁には開口部を空け、テイクアウト用の窓とカウンターを設けた。さらにその外側には大きなテラスを増設。店舗内と外部の公園を、ゆるやかにつながるようコントロールさせている。
ここでも配置、形状、寸法、素材といったハードのデザインから、ここが持つべき機能やサービス、どこまでも許容していくというソフトのデザイン、そして、ここで働くスタッフやそれを支える事業者側のマインドセットとしてのコミュニケーションデザインを三位一体で行った。2022年5月にオープン今後、カフェの内部だけではなく、ここから外部の公園までも一体として捉え、市民のみなさんによるよりアクティブな使われ方の拠点となっていくこを目指し、サポートも行っていく。
増設したテラス脇スペースは、子どもたちのプレイパークとして運営されていくこととなる。
クレジットプロジェクト名:MOGMOG PLAY CAFE |
---|
クライアント・事業者:公園財団・国営海の中道海浜公園 |
デザイン監修:株式会社グランドレベル |
設計:石井大吾デザイン室一級建築士事務所 |
構造設計:加藤構造計画事務所 |
設計協力:大関美奈子 |
施工:西日本グッドパートナー株式会社 |
フード監修:木下 雄(Café sones) |
写真:中村絵 |